Baseball Operation System
【2020年11月9日更新】
ベースボールオペレーションシステムのまとめです。
基本
現場とフロントがチーム編成に関して客観的な数値に基づく共通の理解のもと、選手を適正かつ監督・コーチ変更の度に指導方針が変わってしまわないよう次のコーチに引き継がせる、またベテランを適宜放出することで、年俸総額を抑えながらチーム力を維持、登録選手全員を戦力として活用する事を目標としたもの。
マネーボール理論に基づくコストパフォーマンスを意識した球団経営。
試合分析、スカウト活動、選手査定、(ドラフト、育成含む)、各球団別情報、トレーナー情報等を統括するITシステム。
ここでは主にスカウティングについて扱う。
選手採点
S 60〜70点台 ベストナインクラス
A 50〜60点台 一軍レギュラークラス
B 40〜50点台 一軍控えクラス
C 30〜40点台 一軍二軍往復クラス
選手分類
主力 レギュラークラスの選手
控え レギュラーをうかがう選手
在庫 育成の余地がない選手
育成 育成の余地がある選手
意欲、年俸、年齢、成績を総合的に判断し、伸びしろが期待できない「不良在庫」の対象となった選手は赤字表示される。
チーム統括本部
監督コーチの人選および、チーム編成に関する全権を持ち、オーナーあるいは社長でもチーム統括本部の決定を覆すことはない。
現場介入
試合に向けて、スターティングメンバー決定会議にフロントの人間を交える、基本的には現場指導者の意思が尊重される。
2012年、開幕から絶不調の4番中田の影響により「2番稲葉」がチャンスを広げても得点にならない状況に対して、フロントが戦術変更を進言。
しかし得点力向上のために、2番には近藤、西川、大田ら力量のある打者をセレクトする傾向を持ち始めている。
方針
選手教育「日本ハム大学」
高卒5年目、大卒2年目までは寮生活を義務。該当期間は各業界の様々な講師による講義を聴講し、社会的知見を広げ、人間的成長を養う。
一軍帯同で聴講できない場合はビデオ等にて後日課題を提出する。
本村幸雄ファーム教育ディレクターが統括する。
業務提携
テキサスレンジャーズと業務提携中
経営
自前球場ではないため試合に関する収入に多くを望めず、移動費支出、球場使用料が高いことから、総額で25億円弱の年俸に抑える必要がある。高額で成績下降期に入った主力を売り、その後継者育成の資金に充てる。
獲れる選手ではなく、チーム強化のために獲りたい選手を指名する
山田前GMが浸透させた方針。大谷翔平の高卒メジャーを遮っての獲得はこの方針によるもの。柿木、白村、山口裕次郎ら、下位指名で、上位から漏れた選手や上位縛りのある選手の指名が多いのもこの方針が影響している。
実戦に勝る練習なし
試合経験を最も重視。そのため、高校生は一定レベル以上の二軍即戦力クラスを獲得。
登録選手65人
一軍登録28人、故障者10人、2軍先発投手6人、体力づくり組5人を引くと投手野手合わせて16人しか残らない。
注)二軍試合数増により故障者も増え、育成枠を獲得する方針に移行。
レギュラー以外が試合に出る割合は7%
7%に一軍半の選手を数多く集め、多額の投資をするのは非活性的。その7%は若手の出場枠にあてるのが有効な利用方法。
7%とは具体的には...
【打席換算】1試合4打席×143試合×7%
=1ポジションあたり年間40打席
(スタメン9人では360打席)
【守備イニング換算】1試合9回×143試合×7%
=1ポジションあたり年間90イニング
(スタメン8人では年間720イニング)
スカウティング
重視する指標
基礎データ
- 身長・体重 180cm80kg目安
- OPS(出塁率+長打率)
- スカウト評
- 成長期・好調の選手
- 心理面 プロ志望 ハングリー精神 自律度 人が見ていないところでも練習できるか
- 挑戦することに、結果がどうあれ、価値を見いだせるか
- 全国比 所属リーグのレベル
投手
投手=大学社会人主体
縦の角度と縦の変化球のコンビネーションを好む。球速、体力、大きく曲がる変化球は身体能力由来する。つまりトレーニング期間に由来することから高卒では未完成すぎるため、二軍のレベルに合わない。二軍のレベルについていける投手であれば高卒を取る。
- 制球力・まとまり 実戦性(即戦力先発)
- 球種数
- アベレージ球速(即戦力リリーフ)
- 体力 完投能力(先発)
- 縦の角度
- フォーム(高校生)
野手
野手=高卒主体
打つというプレーのみに絞れば、変化に慣れる。スピードに慣れる。これには反復が必要であり、人体-脳の可塑性をベースとした神経伝達における反射的計算能力を高めることが軸となる。
故に成長は打席数に比例し、高卒の伸びしろが大きいうちに、二軍の高いレベル経験を積ませることを重視。
ほとんどアマチュアと変わらない三軍のゲームに出場しても打撃面で育成される可能性は低い。
- 長打力 IsoP(長打力をチームの課題としていた時代)
- 身体能力の高さ(足が速い、体格がある、肩が強い、筋出力が大きい)
- 完成度(即戦力野手)
- 年間通して試合に出られる体力
体格の重視
「身長に対する傾斜配点が減った」とドラフトの時に日ハムの指名について言っていたが、
— フラワー @11.28仮想ドラフト日ハム担当 (@flowerfs2019) November 9, 2020
身長の傾斜配点が減ったというよりは、「力のある選手は低身長でも獲る」という方針にシフトした、というのがより正確。
傾斜配点が減ったからより上の順位指名に上がってきた、という可能性はあるが... pic.twitter.com/2TK6bL1ViM
2019年から174cm以下の選手が指名されやすくなってきている。
スポーツ心理学に基づく成長する選手の選別。自ら目標を決め、計画を立て、実行し、反省することができる。この自立した心理スキルを重視。やらさられる練習を好まず、コーチ陣にもこの点は徹底させ、本村幸雄選手教育ディレクターらが目標設定法の習得を支え、さらに社会人としての一般常識、人間教育施す。
トレーニング指導においてPDCAサイクルの体得を進める。PDCAサイクルを体得している選手を評価する(中垣元トレーニングコーチ談)
例)大谷翔平 花巻東での目標設定
平沼翔太 実行力
石川亮 高校引退後も自主練
立田将太 自らの意思で過投を嫌い公立へ
とんでもない選手になる
可能性が高いのは高卒
(大渕スカウトディレクター)
詳細な方針と傾向
方針の合致するチーム
- 花巻東高校
- 関東一高
- 二松学舎大付高校
- 天理高校
- 慶應義塾高
- 柳ヶ浦高校
- KBC学園未来高校
- 桐蔭横浜大
- 慶応大
パイプのあるチーム
- 横浜高校 出身選手多い
- 帝京高校 出身選手多い
- 広陵高校 出身選手多い
- 成田高校 岩舘スカウト出身
- 履正社高
- 創価高校
- 浦和学院 今成スカウト家族出身
- 桐蔭学園高 坂本スカウト出身
- 徳島商業高校 加藤スカウト出身
- 関西創価高校
- 県立岐阜商高校 熊崎スカウト出身
- 創価大
- 東洋大 岩舘スカウト出身
- 道都大 北広島市
- 東芝 増井を下位指名
- 日本生命
- JR東日本
- 新日鉄住金かずさマジック 玉井下位指名
- 日本製紙石巻
- セガサミー 齊藤勝下位指名
- JX-ENEOS 屋宜下位指名
- 王子
- 石川ミリオンスターズ 提携
- 新潟アルビレックスBC 清水章夫監督
- 富山GRNサンダーバーズ 二岡監督(〜19)
- 群馬ダイヤモンドペガサス
- 信濃グランセローズ 三沢今朝治元編成部長在籍
- 福井ミラクルエレファンツ
方針が合致しない パイプのないアマチーム
- 亜細亜大学 軍隊式
- 下関国際高 軍隊式
- トヨタ自動車 下位指名拒否
- 履正社高 中位指名難しい
高校生投手の獲得
180cm以上の長身で、決め球があること。
フォームに大きな問題がなく、右腕であればアベレージで140キロ前後を掲示できること。
左腕指名が増えているのは大学社会人の左腕レベルが低下していることから即戦力左腕獲得が難しいため。
石川直也の育成成功で、高卒の中継ぎ育成も可能に。
高校生野手の獲得
体格と身体能力を重視。
特に足が速いかではなく、フォーム的にしっかりとした走動作ができているかどうかは重要とされ、手を抜かずに走れるかも精神面の評価に繋がる。
投手の野手指名も行う。
年間で練習、試合に出場する基礎体力の備わっている、2軍の試合ですぐにレギュラーとして使える高校生を獲る。つまり二軍即戦力クラス。
ショート、センター、キャッチャーの指名を軸とするが、これは他ポジションへのコンバートが行いやすいためであり、人数が限られる日本ハム(特にファーム)ではユーティリティ性が非常に求められるためである。結果空いたポジションでの早期一軍起用が可能になる。
攻守の特徴はチーム事情によるが、外国人砲に頼っていた時期には石川慎、宇佐美、森本ら長打力を重視した。
大学生投手の獲得
先発投手育成型であれば、180cm以上の長身と決め球があること。(フォークボールが高評価)一定の制球力を持ち、アウトローに直球を操作できること。
中継ぎは即戦力で一軍に登板させられる投手。140キロ後半の速球を持つこと。加えて一定の制球力があること。ゲームを壊さないことが一軍即戦力登板に繋がる。
大学生野手の獲得
チームに不足している部分をピンポイントで獲得する。
数年後FA移籍が見込まれるポジションに対して、後継者候補として獲得。
レギュラー確約ではなく、現有戦力の高卒組と競わせる。
主力が抜けた際、ファームに翌年一軍で起用できそうなレベルに達している若手がいない場合は指名する可能性がある。
社会人投手の獲得
前年指名漏れ選手の指名も臆さず指名する。
基本的に中継ぎ投手は社会人と大卒から補充する。
近年左腕は高価な割に成功確率が低く、指名しない方向に動き始めている。
先発即戦力の獲得には体格、球種数、完投能力、制球力を重視。
社会人野手の獲得
大学、社会人の6年間よりも、高卒プロ入りでの2軍6年間の方が価値があるとの判断によるものか、指名が途絶えている。
ドラフト会議
ドラフトによる強化ができているためドラフト巧者と呼ばれるが、ドラフトという1つのボードゲームで考えると時折ばたつく。
欲しい選手を出来るだけ下の順位で獲る駆け引きに出ることはなく、必要な順番で指名するスタイル。
ただし、独占情報の隠し玉は迷わず後半まで残す。結果、北海学園大の川越を西武2位で獲り逃すなどの報道も出ている。
栗山監督
「来年、3年後、10年後をみんな考えている。それに対してどうアプローチしていくか、戦略を考える。うちはスカウティングと育成(のチーム)だから、物凄く重要」
https://baseballgate.jp/p/316717/
一位指名選手の決定会議
ドラフト直前の会議ではドラフト1位に「誰を指名するか」ではなく「誰が一番か」という趣旨で会議が行われる。(栗山英樹著 [稚心を去る]より)
ドラフト指名ひとつとっても、
メッセージ性がないと
面白くない。
(遠藤GM補佐)
▲菅野指名直前の取材で、日本ハムは「プロ野球としてあるべき指名をします」とだけ言った。
2位指名以下
2位指名以下は「誰が2番か」という戦略にはならない。
ただいい選手順に指名していると、チームがどういった方向に進みたいのか、何がしたいのかが不鮮明になる。
はっきりとしたビジョンを持って指名する。
(栗山英樹著 [稚心を去る]より)
→1位指名と、2位指名以下では考え方がはっきりと異なる。
1位指名はビジョン度外視での指名になるということ。現有戦力との兼ね合いやポジションの重複は考慮しない。
2位指名以下は今後の計画を踏まえた上での人選となる。
メディア戦略
希望する選手を獲得するためにメディアを使った指名の噂を流し、他球団を撹乱しようとすることが戦略上各球団の間で行われている。
日本ハムの場合は、ドラフト前に名前を挙げた選手に関しては上位で指名で指名されることが多く、上位指名(3位以内)選手のうち約7割は事前に報道が出ている。
その反面、下位指名は情報戦のスタイルを取り、4位以下で指名された選手のうち3割程度しか事前に評価が報道されていない。
※データは2012〜2016ドラフト
トレード
吉村GMから「チームのためだけではなく、選手のため、球界のためになるのであれば検討する余地がある」と言われているんですよ。 (木田)
球界のためになるトレードとはつまり、国内の伸び悩んでいる有望選手が成功するようにNPBとして取り組むべき、という意味と推測する。
大田泰示、藤岡貴裕ら他球団ドラフト上位の連続獲得はこれに由来する可能性がある。
プロスカウティング
チームに不足している部分の獲得。
バックアップ、チームリーダー、盛り上げ役、若手の見本、勝負勘、コーチ候補、地元選手など。ドラフトで補うことのできない選手を獲得する。
出番がないなら出す
登録人数に限りがある日本ハムにおいて余剰戦力ほどの無駄なコストはない。高橋信二、藤岡、今浪、今成、エスコバー、加藤政義。控えの控えは残しておかず、チャンスを得られる球団に放出する方針。特別な理由がなければ飼い殺しはしない。
コストカットトレード「くたばれFトレード」
シーズン中盤時点でシーズンBクラス濃厚であれば、高額の主力選手を放出しチーム内若手の出場機会にあて、またチームに不足しているポイントの補強に“積極的に”動く、メジャー式経営理論を繰り出す。
(オークランドアスレチックスでは上記の手法で移籍後成績を落とす選手を他球団に送りつけることからトレード期限間際のトレードを「くたばれAトレード」と呼ばれている)
しかし、主砲、エースなどチームの核や人気選手の放出はなく、中継ぎ、ローテ投手などある程度代替の効くポジションで行なわれる。
読売ジャイアンツ
成績低迷に対して策を講じないことが企業としての責任問題になる読売ジャイアンツでは、トレードがしばしシーズン中に行われる。
東京ヤクルト
藤井秀悟、坂元弥太郎、川島慶三、押本、三木など後に移籍先で貴重な働きを見せる双方特をしたトレードもあり、余剰戦力の交換が時折行われる。
横浜DeNA
前日本ハムの高田繁GMが所属していることもあり、トレードが行われることが多い。藤岡の譲渡に対応したり、エスコバーの引き取り先になってもらったり、双方納得の形でトレードを行う。
アナリスト部門
その他方針
「ザ・プロ野球」はやめよう
アンチ巨人スピリット
大金で選手を獲得し、若い選手の出番を奪う「ザ・プロ野球」はやめよう。というのがフロントの根底にあるスピリット。東京時代の不遇からか打倒ジャイアンツ意識はリーグが異なるものの強い。
ところが国交断絶するわけではなく、貿易は盛ん。スキャンダルのあった二岡、巨人入りを熱望していた須永、出番を失っていた矢野など巨人の事情を汲んだ、機微くに敏感なスカウティングでトレードを成立させている。
1コメント
2019.10.06 12:07